MPS(筋膜性疼痛症候群)とは?主な症状や診断方法、治療方法を解説

MPS(筋膜性疼痛症候群)は、近年になり広く認知されるようになった慢性の筋肉の痛みをともなう疾患です。

「腰や膝に痛みを感じながらもなかなか改善されない」「体の痛みを感じるものの検査では異常が見つからない」

このような症状がみられる場合には、MPSが原因となっている可能性があります。

今回は、MPSの主な症状を紹介するとともに、診断方法や治療方法、治療期間などについて解説します。

 

MPS(筋膜性疼痛症候群)の症状

MPSは、筋や筋膜の異常により、首や肩、背中や腰などに慢性的な痛みやしびれを引き起こす病気です。

MPSでは、血液検査を行っても異常が認められず、筋肉や筋膜、周辺の組織に痛みやコリを症状とする疼痛を感じることが多くあります。

このとき、筋肉に過度な負荷がかかって緊張状態になり、血流が阻害され痛みが発生します。痛みは筋膜の場所により、広い範囲で感じることもあれば、時間の経過とともに移動する場合もあります。

MPSの痛みの原因になるのが「トリガーポイント」と呼ばれるものとされており、診察でトリガーポイントの有無を確認することが、MPSを診断する基準となります。

 

トリガーポイントとは

トリガーポイントとは、MPSで筋肉内にできた筋硬結(筋肉内のしこり)を強く触ると痛みを感じる場所を指します。

トリガーポイントがある部位と痛みを感じる部位が一致している場合もあれば、痛みを感じている筋肉から離れたところに痛みを感じる場合もあります。トリガーポイントから痛みを自覚している場所が離れている場合には、治療にあたって専門的な知識が必要になります。

 

MPS(筋膜性疼痛症候群)の診断方法

通常、MPSは、医療機関で一般的に行われるレントゲンやMRIといった検査での診断が難しくなっています。また、MPSと似た症状を示す病気(椎間板症や椎間板ヘルニアなど)との診断の区別がつけにくく、診断をあやまるケースもみられます。

そのため、MPSを正しく診断するには、MPSを専門に診断・治療している医療機関で診断を受けなければなりません。

実際のMPSの診断では、痛みを感じる部分に力を加え、上述のトリガーポイントを見つけることで可能となります。この際、問診を行いながらトリガーポイントを見つけ出していくのですが、さらにエコーによる評価を組み合わせて実施し、最終的な診断を行っていきます。

その他、MPSの症状として、異常を起こしている筋膜の血流が悪化することで痛みが発生し、軽いむくみを起こしていることもあります。

以下、合併症を起こしていない単純なMPSと何らかの病気と合併した複雑なMPS、それぞれの場合の診断方法について紹介します。

 

単純なMPSと診断される場合の診断方法

ハイドロリリースやトリガーポイントへの注射、鍼といった治療を数回から5回程度行うことで改善するMPSは、他の病気との合併を起こしていない単純なMPSと診断されます。

この場合は、痛みを感じる部位を使うことを控えたりするだけでも、症状が改善する場合も多くなっています。

 

複雑なMPSと診断される場合の診断方法

異常を感じる部位への局所治療を行っても効果が数時間しかもたなかったり、もとの症状に戻ってしまったりする場合には、他の病気との合併を起こしている複雑なMPSと考えなければなりません。

合併により複雑なMPSを引き起こす病気には、次のようなものが挙げられます。

・脳卒中や脊髄症などの脳神経系の病気

・関節リウマチ

・ホルモン異常

・ビタミンやミネラルの欠乏

・椎間板ヘルニアや手根管症候群など運動器系の病気

・慢性副鼻腔炎や内耳性難聴などの耳鼻咽喉科系の病気

・鬱や統合失調症、パニック障害など精神、心理の病気

 

MPS(筋膜性疼痛症候群)に類似した病気

MPSとよく似た症状を起こす病気には、体の部位別に次のようなものがあります。

頭・顔に生じる症状

頭や顔に生じるMPSに類似した症状には、筋緊張性頭痛や偏頭痛、顎関節症のほか、舌痛症などが挙げられます。

 

首や肩、腕に生じる症状

首や肩に生じるMPSに類似した症状には、頚椎症や頸肩腕症候群、胸郭出口症候群のほか、五十肩・肩関節周囲炎などが挙げられます。

また、腕に生じる症状には、テニス肘やゴルフ肘、手根管症候群、腱鞘炎などがあります。

 

背中から腰に生じる症状

背中から腰に生じるMPSに似た症状には、椎間板症や椎間板ヘルニアが挙げられます。そのほかの症状として、脊柱管狭窄症や腰椎すべり症などもあります。

 

尻から足に生じる症状

尻から足に生じるMSPに似た症状には、仙腸関節症や変形性股関節症などがあります。そのほか、変形性膝関節症や膝関節半月板障害、糖尿病性神経障害といった症状もみられます。

 

その他の症状

MPSに類似したその他の症状には、非回転性のめまいや動悸、しびれ感や耳鳴りなどの症状があります。また、胃腸に関係する類似の症状として、機能性胃腸症や胃けいれんといった症状がみられる場合もあります。

生理痛や排尿・排便痛、肛門痛もMPSに似た症状をもつ病気です。

 

MPS(筋膜性疼痛症候群)の原因

MPSは、筋肉に負荷のかかる姿勢をとったり、重いものを持ったりするなど、筋膜への過負荷状態が長時間に及び、筋損傷が起こることで発生します。

筋肉の痛みが慢性化する場合には、筋損傷が起こっている筋肉の血流量が低下していることが考えられます。

また、貧血やカルシウム、カリウム、鉄分、ビタミンC・B-1・B-6・B-12などの栄養不足も、MPSの原因となるとされています。

 

MPS(筋膜性疼痛症候群)の治療方法

MPSの治療には、トリガーポイントの解消に重きを置いて行います。

一般的には、直接法と間接法の二つの治療方法があり、両方の方法を組み合わせて行うような形となります。

 

直接法

直接法には、ハイドロリリースや鍼、徒手といった治療方法が該当します。これらは、基本的に痛みも少なく、安全性の高い治療方法です。

ハイドロリリースでは、痛みの原因に対し、生理食塩水や局所麻酔を注射して筋肉をほぐし、痛みをやわらげる方法をとります。

また、鍼や徒手による治療方法では、直接患部にアプローチし、筋肉の異常状態を解消します。

 

間接法

間接法は、リラクゼーションや認知行動療法などが該当します。

異常のある筋肉部分や関連する組織をリラックスさせ、痛みの緩和をはかります。

リラクゼーションによる不安の除去や心理的効果により、全身の緊張だけでなく、患部から感じる痛みが脳に与える刺激も緩和します。

 

MPS(筋膜性疼痛症候群)の治療期間

MPSの治療は、数回に分け、ある程度の時間をとりながら行わければなりません。

合併を起こしていない単純なMPSの場合には、数回~5回程度治療を行うことで症状が改善に向かうのが一般的です。

しかし、痛みが強く、日常生活に影響を及ぼす複雑なMPSでは、数ヶ月程度の治療が必要となる可能性もあります。

また、基礎疾患がある場合には、その治療もあわせて行っていかなければなりません。

いずれにせよ、早期に診断をうけ、治療を開始することが、完治までの時間をより短くすることにつながります。

 

まとめ

今回は、MPSの主な症状や診断方法、治療方法などを中心にご紹介しました。

背中や腰、肩などに慢性的な痛みを感じるものの、検査で異常がみつからないときには、MPSの可能性が考えられます。

MPSの診断には、トリガーポイントの確認が基本となりますが、トリガーポイントと痛みの部位が一致しない場合には、治療に時間を要することとなります。

また、他の疾患との合併を起こしている場合や、痛みが激しい場合には、入院が必要となることもあります。

現時点で筋や筋肉の慢性的な痛みを感じ、日常生活にお困りの方は、早めの治療で改善をはかっていきましょう。

【参考URL】

日本整形外内科学研究会HP:https://www.jnos.or.jp/for_public

 

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                         (柔道整復師・鍼灸師  綾田剣一  監修)

 

 

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